上野品川歯科・矯正歯科院長の品川淳一です。
今回は、むし歯予防に効果的なフッ化物の使い方をお話しします。
今現在、むし歯の予防に効果がある、というしっかりとした根拠があるのはフッ化物だけです。(1)
このことから、アメリカやヨーロッパでは、フッ化物は様々な飲食物に直接配合されています。
水道水や、食塩、牛乳に添加されている国もあります。(2)
日本では、残念ながら薬事法の関係でこのように食品や水道に有効な量のフッ化物を添加できません。
それでは、日本でフッ化物を予防に使うにはどうしたら良いでしょうか。
それは歯磨き粉です。
日本で一般的に使用されている歯磨き粉は、基本的にフッ化物が配合されています。
そして2017年3月に、厚生労働省により、歯磨き粉に配合できるフッ化物の上限量が、1500ppmという量まで引き上げられました。(3)
これは、欧米でも6歳以上の全ての人に、むし歯予防に有効なフッ化物の量として推奨されている量です。(4)
この1500ppmのフッ化物の入った歯磨き粉で、1日2回以上の歯磨きをするのが、現在のグローバルスタンダードです。(6歳以上、歯磨き粉の量は1~2センチ)
お子さんの場合は、6ヶ月~2歳未満は500ppm(または1000ppm(5))、2歳~6歳未満は1000ppm、それぞれ歯磨き粉の量は豆粒大が推奨されています。
写真は私達の子供ですが、生後6ヶ月からフッ化物配合歯磨剤を使用し、歯ブラシも大好きで自分で持って磨いています。今の所虫歯の徴候は見られません。ただ、乳歯の段階で下の歯のガタガタ(叢生)があるため、矯正歯科治療が必要な可能性が高いです。当院でも扱っているLION社チェックアップスタンダードで私達親は歯磨きをし、子供はチェックアップkodomoで歯磨きしています。
他のフッ素の使い方であるフッ化物入りの洗口剤を使ったうがいや、キシリトール入りのガムを噛んだりすることは、以上のようなフッ化物入り歯磨き粉を使用しながら、追加で行うべきものです。あくまでも主役は歯磨き粉なのです。
このようにフッ化物の使用は重要なのですが、近年インターネットを中心に、フッ化物の毒性を強調する記事が出回っています。
しかし、フッ化物の毒性は、大量に飲み込まなければ発生せず、上記のような微量で、しかも飲みこまないのであれば全く問題ありません。
また、急性でない、歯のフッ素症などの合併症は、水道水にフッ化物が添加されている地域の場合がほとんどです。
勿論、上記のような正しいフッ化物の使い方をしても、虫歯になる可能性は0%ではなく、もし新たにむし歯になってしまう場合は、むし歯リスクが高い可能性があります。
そのような場合は、一度かかりつけの歯科医院に相談してみてください。
参考文献
(1)
https://www.fdiworlddental.org/sites/default/files/media/documents/2__ps_revision_mid_en_gab.pdf
(2)
http://www.hamigaki.gr.jp/hamigaki1/fusso03.html
(3)
http://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/file/statement/201803_fluoride.pdf
(4)
https://www.eapd.eu/uploads/82C0BD03_file.pdf
(5)
https://www.fdiworlddental.org/sites/default/files/media/resources/2017-fdi_cpp-chairside_guide-jp.pdf