上野品川歯科・矯正歯科院長の品川淳一です。
4月28日、4月29日の二日間、日本顕微鏡歯科学会に出席してきました。
歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いた歯科診療に関する学会です。
根管治療において顕微鏡は使用されてきましたが、現在は歯科の様々な分野で応用されています。
私が大学で歯学部生として勉強していた頃、歯内療法(根管治療の学問)の講義で初めてマイクロスコープを知りました。当時受けたのは、歯の根の先端を外科的に削除してそこから根管を封鎖する材料詰める歯根端切除術におけるマイクロスコープの有用性に関する講義でした。マイクロスコープの使用でこのような外科的な根管治療の成績が上がったというのも、後になって改めて勉強して理解しました。1)
当時母校の大学病院にも一台だけマイクロスコープがあり、学生実習の時に見た私は「将来はこれを使って診療をしたい」、「将来は当たり前のように使っているのだろうな」と自然と思っていました。
研修医として歯科治療を始めた時にはマイクロスコープを使える環境ではなく、肉眼で診療をしていました。その後、大学院在籍時に2.8倍の拡大率の拡大鏡(ルーペ)を購入し、使用し始めました。このルーペは歯科用としては最も小さい倍率のクラスでしたが、それでもこんなに大きく見えるのかと思ったことを思い出します。
その後、非常勤で勤務していた勤務先でマイクロスコープを使わせていただけるようになり、日常的に顕微鏡がある環境で診療することができました。
初めてマイクロスコープを使用して診療すると、そこには肉眼や低倍率のルーペで見るのとは全く違った世界が広がっていました。
今まで自分が見ていたのはなんだったのだろうかと愕然としました。
根管の中や歯の表面の細かい溝がはっきりと見え、今までは細かいところは全然見えていなかったのだなと実感しました。
今までは削ったり詰めたりして仕上げた結果をよく見てもこれで大丈夫か確証が持てなかったのですが、顕微鏡で見ることによって、確証を持って治療に当たることが出来るようになりました。
一本の歯の治療にこだわるのであれば、現代の歯科治療に顕微鏡は欠かせない存在であると確信し、その時から自分のクリニックを開業する時には最初から導入しなければいけないと思っていました。
現在では、根管治療だけでなく、検査・診断の段階から、虫歯を削る時や詰め物(コンポジットレジン)を詰める時(ダイレクトボンディング)、セラミックの詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)のために歯の形を削って整える時など、あらゆる場面でマイクロスコープを使用して診療しています。
このような、家族や友人にも自信を持って行える治療を、全ての患者様にご提供したいと強く思っています。
参考文献
1)Tsesis I et al. Outcome of Surgical Endodontic Treatment Performed by a Modern Technique: A Meta-analysis of Literature. J Endod. 2009
日付: 2019年5月22日 カテゴリ:ブログ