上野品川歯科・矯正歯科院長の品川です。
以前のブログで、歯磨きで歯の汚れを取ることが虫歯予防に必ずしも繋がらないことをお話ししました。
虫歯になるかならないかは、歯磨きの上手さよりも他の要因による影響が大きいのです。
いわゆる虫歯菌の量や、歯の形や、虫歯予防に効果があるフッ素の使用量などによって変わってきます。
これらを複合した、「あなたの虫歯になりやすさ」を、検査をせずとも最もシンプルに知る方法が実はあります。
それは「今まで虫歯になった歯の数」です。
拍子抜けするような指標ですが、過去の虫歯の数と、これから虫歯になる確率には60%程度相関があると言われており、これは虫歯を予測する因子の中で最も有効な指標とされています。(特に若い人、または歯の根元が露出した人に対して。(1))
単純に、今まで虫歯になったことが無い人は今後も虫歯になる可能性は低いです。
すでに、たくさん虫歯になった経験があり、たくさん治療をしたことがある方は、残念ながら虫歯のリスクが高い可能性があります。
また、近年の虫歯の研究では、虫歯の活動性というものが注目されています。(2)
これは評価の仕方がまだしっかりとは確立されていませんが、この活動性が高い場合は積極的に治療をし、また虫歯の予防策が講じられるべきとされます。
特に、直近の1~3年に新たな虫歯が出来てしまった場合、虫歯の現在の活動性が高いと判断されます。(3)
反対に活動性が低い場合は、積極的な治療よりも経過観察が優先されることもあります。
上記のような虫歯のリスクが低い方は一安心ですが、リスクが高い方はどうすれば良いのでしょう。
ここに大きく関わってくるのが、いわゆるフッ化物(フッ素)です。
フッ化物を有効に用いれば、虫歯を予防できる可能性が高くなります。
次回は、虫歯予防のためのフッ化物の使い方をお話しします。
参考文献
(1)Yip K, Smales R: Oral diagnosis and treatment planning: part 2. Dental caries and assessment of risk. Br Dent J. 2012
(2)FDI: FDI policy statement (revision) Minimal Intervention Dentistry (MID) for Managing Dental Caries. 2016
(3)Featherstone JD, Singh S, Curtis DA. Caries risk assessment and management for the prosthodontic patient. J Prosthodont. 2011